――介護福祉士、社会福祉士を目指したきっかけ、エピソードを教えてください。
私が幼稚園のときに祖母が入居していた介護施設に面会に行った時、暖かな施設でとても素敵な笑顔で出迎えてくれたスタッフをみて、子供心ながら「私は将来こういうところで働くんだろうな」と思ったのが介護業界を目指したきっかけです。
なんと、子供の頃からの夢だったのですね。
はい。そこからその想いは変わらず、働いたらすぐに介護の現場に出たいと思ったので、介護福祉関係の専門学校に進学。そこで介護の世界に触れると更に気持ちは強くなりました。
学校の図書館で三好 春樹 氏の著書の出会いで、認知症を「人間関係の障害論」とするその考えに興味を持ち、もっと大きな視点で介護を考えてみたいと思い社会福祉課程の大学に編入学。卒業後は東北、宮城県仙台市の特別養護老人ホームに介護福祉士として就職しました。
なるほど。大関先生といえば、現在、「DASUケアLAB」代表として「シッカリ出して、スッキリ生きる」をモットーとした「排泄ケア」に取り組まれていらっしゃいますよね。
数あるケアの中でも、特に「排泄ケア」に着目したきっかけは何ですか?
特別養護老人ホームで勤務していたある時に、祖父の介護が必要になりました。
田舎なので、まだまだ家で看る雰囲気もありましたが、何よりも祖父の介護を他人には任せたくない。その思いで退職をし、在宅介護が始まりました。
介護保険のサービスのヘルパーも使わず、マンツーマンでの介護生活。
その中で一番大変だったのが祖父の頻尿への対応でした。昼夜問わない30分おきのトイレの訴えは、双方が睡眠不足になり、身体がまず疲弊していきました。98歳でしたから、頻尿は仕方ないと思い込んでいたのです。次第に自律神経失調症の様になり、介護うつになりました。
――DASUケア(排泄ケア)の概念に込めた想いを教えてください。
おむつメーカーのアドバイザー時代、各施設病院での研修の実際から、おむつの使用法ですら正しい方法が浸透していない実際を目の当たりにしました。
そして、介護の中でも1番見えにくく、双方の精神に影響を及ぼしやすく、 ケアの中で回数が多いケアであるのに、適切なアセスメントがとられる事が少ないこと。自分自身も含めて排泄の知識が実際に活かせるものではなかったことが明らかになりました。
また、介護に携わるケア職も含め、自身の心をどうバランスよく保っていくかが、より良いケアには必要不可欠ということも、現場のリアルから痛感。
「出す」の文字を英字にしたのは、「心」の出し方も、身体と同じように大切にしたい想いを込めたからです。
また、見えにくい自己の価値観を見直し、押し付けないところからその人の尊厳を護るケアの基本に繋がる。
(後編に続く)
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