脳腸相関や最近の研究などからも、心と身体は繋がっていることを実感されている方は多いと思います。
しかし、介護の領域になると「腸活」よりも「排泄ケア」に視点を置かれがちで、「トランジットの動き」よりも「出たか出ていないか」の二元論に終始することが多いのが現状です。
排泄の課題に向かうときは、泌尿器や消化器の解剖生理も重要ですが、忙しい現場では、もっとトライしやすく、分かりやすい取り組みが必要です。 そこから、小さな成功体験につながると、チームが持つケアへの視点は一気に変わっていきます。
最終的なゴールは、「シッカリ出す」ことではなく、「排泄の不都合で『より良く生きる』ことを諦めてしまう人を少なくする」ことです。
そのためにお伝えしたい、DASUケアのポイントは3つあります。
1.まず、「はかる」
排泄ケアの根拠となる情報収集をおこない、チームで共有するために数値化していきます。
コンチネンスケアの原則として「治療」は第一優先。治療へ繋げるためにも「正常値」との照らし合わせが必要です。
2.次に、「己を知る」
「排泄に不都合が起こってきたときに、どう対応するか」は、ケア側の思い込みや価値観によって、大きく変化します。
排泄は特に自分だけの価値観に捉われやすいことを知り、その上でどんな姿勢でケアにあたるかを自覚すること。 そこから、人に押し付けないケアがやっと輪郭を現します。
3.最後は、「体験のち実践」
自ら体験して理解することで、実践力はより高まります。どんな小さな問題でも、腰を落としてその方と同じ目線で見ること、ベッドに寝てみることで、得られる情報は多くあります。
おむつも同じです。装着してみて初めてわかる肌への感触、羞恥心、行動の制限などは、教科書を読んだだけでは得られない知識です。
数値化したものを、自分の価値観に捉われずに、少しずつでも実践していく。
排せつ支援加算のアセスメントも同様で、最低限その方の排泄状況を知るためには、やはり「はかる」ことが必要となります。
たとえば、「一日の排尿回数」ならば8回より多ければ頻尿となりますが、その1回が何秒間で出ているのか(排尿時間)、その量は何ccなのか(排尿量)という情報によって、溜める・出すの排尿サイクルのどこに問題があるのか、おおよその検討をつけられるようになります。これは、一般に言われる「排尿日誌」となります。
また、その方がどんなタイプの失禁なのかを排尿チェック表で仮診断しておくことは、介護施設でも可能なアセスメントなのでお勧めです。
まずは「はかる」ことからスタートし、根拠をもったケアを確立しましょう。
安心安定した、効率良く適切なケアは、スタッフの意欲向上にも繋がっていきます。援助職側に余裕があることも、ケアの現場では大きなポイントとなりますね。
今ある資源で、最大の効果を得るためにも、これまでの経験や勘に頼ることが多い不安定なケア方法を「はかる」ことで見直してみましょう。
0コメント