――リハビリテーションにおけるコンディショニングの重要性についてお聞かせください。
現在、臨床の中で「リハ室で寝かせてばかりいる」、「意味の無いストレッチ、マッサージをやっている」と言われる一方で、動かすべく歩行練習をすると「ただ患者さんと歩いているだけ」というような指摘が聞かれます。
コンディショニングの重要性を私が唱え始めた頃は、前者の要素を念頭に批判もありました。「コンディショニングなどを重要視するから、療法士がマッサージばかりしている」「普通、患者さんのコンディションなんて誰でも見ているでしょう」……など。様々なご意見を頂きました。
現在のリハを取り巻く環境ですと、基本的ながら重要な観点や、欠かすことのできないアプローチ方法が、軽視されがちな傾向にあるのですね。
ただ、私が重要視しているリハにおけるコンディショニングは「運動学習を目的としたコンディショニング」です。
療法士の大きな役割の一つに、運動、動作の再学習があり、その再学習しやすい身体づくりというものがあります。臨床の中で、同じ動作を繰り返すこと、たとえば歩行に関して、歩行練習をただ続けているだけでは、ある程度の速度や持久力はつきますが、いずれ頭打ちになる……ということを経験するでしょう。
そこで必要となるのが、身体づくりなのですね。あと一歩レベルアップするには、どうすれば良いのでしょうか。
それには、「このプログラムを続けているだけでは難しい」と感じる場面で、コンディショニングに取り組むことです。これはスポーツの世界でも同様で、ただその動作を繰り返すだけではなく、そのスポーツにあった身体づくりが不可欠です。箱根駅伝で連覇している青山学院の体幹トレーニングを中心とした「青トレ」は有名です。
患者さんのニーズを叶えるために必要な身体活動、その身体活動を効率よく学習するための身体づくりがとても大切です。
(次回へ続く)
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